こんにちは、にじりゅうです。
突然ですが、皆さんは「正常性バイアス」を知っていますか?
時には恒常性バイアスという言い方もします。
この「正常性バイアス」について正しく理解し、自分にも正常性バイアスがあることを自覚しないと命に関わります。
この記事を最後まで読んで、正常性バイアスについて知って自覚し、出来ることから自然災害への備えを進めていきましょう。
▼目次
▼アイキャッチ画像
そもそも正常性バイアスって何?
「正常性バイアス」とは心理学の用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりして「自分は大丈夫だろう」と先入観が働き、異常事態でも正常な範囲だと誤認してしまうことです。
参考:Weblio国語辞典
この説明だと少し分かりにくいかもしれません。
ここからは具体例を挙げるので一緒に考えていきましょう。
例1:大雨の影響で警戒レベル4避難指示
イメージが湧きやすいように画像も作って付けてみました。背景画像はフリー素材なのでご安心ください。
例えばこんな感じで、大雨の影響で自分の住んでいる地域に避難指示が出されたと仮定します。警戒レベルだと4相当です。
避難指示が出されたら、危険な場所から離れなければいけません。
あなたの住む家は、ハザードマップの浸水想定区域内です。
しかし、去年も同じようなことがありましたが大した被害が出ませんでした。
さて、このときあなたは本当に避難しますか?
……
恐らく多くの人が「家に留まって避難しない」と間違った行動を取ると思います。
間違っている自覚はあっても、次のような要因でなかなか避難行動に移すことが出来ないのでしょう。
避難行動に移れない要因
- 「去年は大丈夫だったから今回も大丈夫だろう」と考えてしまう
- ハザードマップを見ても自分の家が危険だと自覚できない
- さらに上の警戒レベル5があるからまだ大丈夫(多分こういう人はどうせ5になっても逃げなそう、というかそもそも5だと手遅れ)
結論から言うと、これが正常性バイアスによる楽観的思考です。
都合の悪い情報を遮断して後悔
危険なのにも関わらず、自分にとって都合の悪い情報を遮断してしまい、避難行動を取ることが出来ませんでした。
このあと水害に巻き込まれてしまい「あの時逃げていれば…」となってしまった方も実際にいました。
もっと他の例も見てみましょう。
例2:緊急地震速報を見聞きした!
引き続きイメージ画像です。
このように緊急地震速報を見聞きした場合、あなたはどうしますか?
揺れが来ていなくても、見聞きした段階ですぐに行動しますか?
そもそもどういった行動を取るべきか理解していますか?
「どうしても揺れが来るまで行動できない*1」
「行動の仕方が分からない*2」
「多分大きな揺れは来ないよ*3」
こういったことを思っている人、防災意識が低すぎます。
考えが甘すぎます。
(自分に当てはまってそうな人は脚注を見てから続きを読みましょう)
緊急地震速報が出てる時点で大きな揺れだから行動しよう
まず、緊急地震速報の発表基準からおさらいしましょう。
知らなかった方はこのタイミングで暗記してください。
発表基準 | 発表地域 | |
最大震度5弱以上の揺れを予測 | → | 震度4以上が予想される地域に発表 |
最大で長周期地震動階級3以上を予測 | → | 長周期地震動階級3以上が予想される地域に発表 |
緊急地震速報が発表された場合は大きな揺れが予想されるということです。
的中率は約8割*4なので、かなり高い精度だと思います。
ちなみに、震度の中で最も高い「震度7」や1つ下の「震度6強」となると、這わないと動くことができず飛ばされることもあります。
つまり、もし震度7や6強の揺れだとしたら、揺れが来てからでは何も行動できないということです。
また、長周期地震動を考慮した場合、震源との距離やその地点の震度は関係なく大きな揺れが起こる可能性が否定できない*5ということも覚えておいてください。
緊急地震速報を見聞きした場合は大きな揺れが来ると思ってすぐに行動に移してください。
じゃあどんな行動を取ればいいの?
- 落ちてこない
- 倒れてこない
- 移動してこない
これが地震発生時の行動の基本です。
つまり、物の落下・転倒・移動のリスクが少ない場所で頭を守るなど、身の安全を確保しろということです。
普段から「今この瞬間に地震が来たらどんな行動を取れば助かりやすいか」を考えるようにすれば、緊急地震速報を見聞きした段階ですぐに行動できるようになりますよ。
私もこれを普段から考えることによって、緊急地震速報を見聞きした段階ですぐに行動できるようになりました。
それでもイメージしにくい場合は、次のような方法があります。
ただし、災害時の映像や画像を見ることでストレスを感じる場合は無理をしないでください。
緊急地震速報の話はここまでです。
最後にもう1つだけ例を見てみましょう。
例3:津波警報や大津波警報が発表!
引き続きイメージ画像です。頑張って作りました。
このように何らかの原因で大津波警報または津波警報が発令された場合、すぐに高台へ逃げることができますか?
正常性バイアスによる楽観的思考で起きた悲劇
皆さんは、東日本大震災で三陸沿岸が津波で被害を受け、多くの人が亡くなったことをご存知ですか?
その中で正常性バイアスによる楽観的思考が原因となって起きた「大川小学校の悲劇」について取り上げて記事を終わろうと思います。
大川小学校の悲劇とは?
大川小学校は宮城県石巻市にあった小学校で、東日本大震災のとき、次のような状況になっていました。
14:46 地震発生、全員が校庭へ避難
児童らは校庭へ避難し、保護者の迎えの車も5〜6台来ており一部の児童は保護者と帰宅しました。
しかし、校庭に残った多くの児童が悲劇に見舞われました。
14:49 大津波警報発令
- 教諭らは対応を検討
- 校舎は割れたガラスが散乱し、余震で倒壊する懸念も
- 学校南側の裏山は急斜面で足場が悪いので、約200m西側にある新北上大橋のたもとを目指すことになった
まず津波が遡上する危険のある川の近くに移動するという時点で問題外です。
また、市の防災マニュアルでも津波対策は「高台へ上る」としか記されていないというのも問題でした。
15:10過ぎ 津波来襲
このとき、列の後方にいた教諭と数人の児童は向きを変えて男性と同様に裏山を駆け上がるなどしました。
助かったのはこういった人だけです。
助かった子どもは大人に「眠れば死ぬんだからな」と言われ、一睡もしなかったという話もありました。
まとめ:正常性バイアスとは?
ここまで読んでいただいたあなたなら、正常性バイアスが何か理解できましたね?
正常性バイアスとは、異常事態なのに物事を正常の範囲だと誤認してしまうことです。
これだけは覚えておいてください!
特に災害時などのような異常事態のとき、自分にも正常性バイアスがあることを自覚し、適切な判断を下すようにしてください!
この他にも「同調性バイアス(同調圧力)」というものもあります。
周りの人が逃げていなくても、異常事態のときはあなたが率先避難者になってください!
正常性バイアスの脅威から命を守るためには、実生活において普段から防災対策や心構えをすることも効果があります。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は6月に「明治三陸地震から学ぶ津波地震の脅威」についてブログを投稿します。
このブログでも明治三陸地震については少し触れましたが、次回はもっと踏み込んだ解説をしようと思います。
これから水害の季節となります。
今回説明した正常性バイアスも考慮して、自分に必要な備えを出来ることから始めていきましょう!
*1:他人事だと思っていませんか? 震度6弱以上の揺れに見舞われる確率がゼロの地域は1箇所たりともありませんよ(ソース)。
*2:気象庁のサイトを見ましょう。行動の仕方が分かれば常に「今この瞬間で地震が来たら…」を考えていれば緊急地震速報を見聞きした段階で行動できますよね?
*4:ここでの的中率は、予測震度が実際の震度の±1以内のことです。
*6:このとき岩手県と奄美諸島・トカラ列島に津波警報が発表されましたが、岩手県で実際に逃げた人は4%と脅威の低さで、国民の防災意識の低さが問題になりました。
*7:ご家庭で避難に時間のかかる人がいらっしゃる場合は警戒レベル3、そうでなくても4で必ず危険な場所から逃げましょう。