にじりゅうの防災・減災ブログ

「わかりやすさ」をコンセプトに発信しています

【3.11から13年】あの日を契機に改善された“緊急地震速報”と“津波警報”

東日本大震災からまもなく13年となります。
この機会に「災害への備え」について見直すきっかけにしていきましょう

この記事では、「東日本大震災を契機に改善された“緊急地震速報”と“津波警報」をテーマに解説していきます。

最後まで読んで、自分に出来る備えを考えた上で行動に移しましょう。


【はじめに】東日本大震災とは?

まずは東日本大震災について軽く解説します。
今回の主題は「東日本大震災を契機に改善された“緊急地震速報”と“津波警報”」ですから、詳しい解説は割愛しています。

東北地方太平洋沖地震

2011年3月11日14時46分、三陸沖を震源とするM9.0の超巨大地震が発生しました。
これにより宮城県栗原市最大震度7を観測しました。
これを「東北地方太平洋沖地震」と言います。

【基礎知識】マグニチュードと震度
  • マグニチュード地震そのものの規模(エネルギー)を表す数値
    • M9.0は国内観測史上最大規模世界でも4番目に大きな規模
  • 震度はその場所における揺れの強さを表す階級
    • 震度7はその階級の中で最大。
    • したがって、7を超える震度は存在しない

津波の被害

東北地方太平洋沖地震により、主に北海道から千葉にかけての沿岸で大津波が押し寄せました。

各地の津波の高さ(参考
  • 沿岸での高さ
  • 遡上高津波が斜面を駆け上がった高さ)は国内観測史上最大となる40.5mに達したところも。
【基礎知識】津波浸水深と死亡率(引用・参考
  • 内閣府の分析によると、津波に巻き込まれた場合
    • 浸水深30cm以上で死亡者が発生
    • 浸水深1mで死亡率100%、木造建物半壊
    • 浸水深2mで木造建物全壊

東京電力福島第一原子力発電所事故

原発事故も深刻でした。ここでは簡潔に解説します。

原発事故のメカニズム

福島第一原発では、地震津波の影響で冷却装置が停止してしまい、核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が発生しました。
1号機・3号機・4号機では水素爆発が起きました。

2号機では水素爆発は起きなかったものの、ベントという作業に失敗してしまいました。
これにより格納容器圧力が急落してしまい、大きな損傷が生じたと考えられます。
2号機の格納容器からは大量の放射性物質が漏れ出したとされています

帰還困難区域

福島県双葉町大熊町浪江町を中心に、今でも立ち入りが厳しく制限されている地域があります。
これを「帰還困難区域」と言います。

もちろん、震災当初に比べるとこのエリアはかなり減少しています。
しかしながら、県内の2.4%ほどが今でも帰還困難区域です(参考)。

▼おととし私が現地に行って撮影したものです


まとめ


【メイン】東日本大震災から学ぶべき教訓

ここからは、戦後最悪の大災害となった東日本大震災から学ぶべき教訓です。
これがメインテーマです。

東日本大震災は恐ろしかった」で終わりにせず、そこから何か学んで、一人一人が備えを進めなければ意味がありません
ここからもしっかり読んで、学んでください

緊急地震速報の改善①】PLUM法

皆さんは「PLUM法」をご存知ですか?

PLUM法とは?
  • 巨大地震が発生した際でも、精度良く震度を予測できる手法。
  • 震源や規模の推定を行わず、揺れの強さから震度を予測。
    • 従来は揺れから震源と規模を推定してから、推定した震源と規模より揺れを予想する手法。

この説明だけだと分かりにくいので、図を用意しました。
従来の手法(IPF法)とありますが、これは厳密には従来の手法のまま改善させたものですので、ご注意ください。

P波検知後、IPF法では次のような流れになります。

  1. 震源を推定
  2. マグニチュードを算出
  3. 全域の震度を予測

一方、PLUM法では次のような流れになります。

  1. 揺れがどの程度の強さか検知(震源や規模は推定しない)
  2. 直接他の地点の震度を予測

つまり、震源に近い順にA地点とB地点がある場合、「A地点で強い揺れを感じたらB地点でも強い揺れを感じる可能性がある」といった具合に推測するというものです。

なぜPLUM法が生まれたの?

きっかけとなったのは東日本大震災です。
東北地方太平洋沖地震発生時、緊急地震速報は東北5県にしか発表されませんでした。
ところが、未発表の関東などでも最大で6強の強い揺れを観測しました。

緊急地震速報は震度4以上の地域に発表されるものなのに、これでは過小ですよね。

≪PLUM法による改善事例(引用元)≫

つまり、東北5県ではなく

  • 東北地方のすべての県
  • 関東地方のすべての都県
  • 北海道、山梨県静岡県、長野県、新潟県、石川県 など

に発表する必要があったのです。

これをきっかけに、現在の緊急地震速報ではIPF法も活用しつつPLUM法も利用しているのです。

緊急地震速報の改善②】長周期地震動に対応

まずは長周期地震動について解説しましょう。

長周期地震動とは?
  • 周期が2秒以上の大きくゆっくりとした揺れ。
  • ビルの高層階では、コピー機や棚が暴走することがある。

これに関しては、図や動画を見るほうが早いです。

東日本大震災でも起きた「長周期地震動

東日本大震災では、震源から遠く離れた東京や大阪でも長周期地震動が起きました。

つまり、震源からの距離やその地点の震度に関係なく、長周期地震動に備える必要があるのです。


緊急地震速報の発表条件が改善

これまで緊急地震速報

  • (発表条件)最大震度5弱以上の揺れが予想されるとき
  • (発表地域)震度4以上が予想される地域に発表

としていましたが、

東日本大震災を契機に

というものも新たに加わりました。

念のため長周期地震動階級について解説しましょう。
長周期地震動階級とは、長周期地震動のレベルを表したものです。
震度と似て非なるものです。

また、長周期地震動階級は4が最も大きいので、5以上は存在しません。ご注意ください。


津波警報の改善】過小評価を防ぐ

東日本大震災を契機に、津波警報も改善されました。

東日本大震災では大幅な過小評価

東日本大震災のとき、大津波警報津波警報を大幅に過小評価してしまいました。

具体的に、大津波警報が発令されたのは

この3県だけでした。
しかし、実際には予想を遥かに超える巨大な津波が押し寄せました

本来は北海道から千葉にかけて大津波が押し寄せたのにも関わらず、大津波警報が発表されたのは3県だけ。
これは大幅な過小評価ですね。

なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

一番の原因は「マグニチュードの飽和」

様々な原因はありますが、一番の原因は「マグニチュードの飽和」です。
マグニチュードの飽和とは何か、一緒に見ていきましょう。

マグニチュードには種類がある

実はマグニチュードには何種類か存在し、日本では

の2つが主に使われています。
違いを見ていきましょう。

気象庁マグニチュード(Mj) モーメントマグニチュード(Mw)
メリット 地震発生後3分ほどで発表できるため、速報性がある M8以上の巨大地震でも精度良く求められる
デメリット M8以上の巨大地震だと過小評価してしまう 発表までには地震発生後15分以上かかる

気象庁マグニチュードのデメリットを見ると、「M8以上の巨大地震だと過小評価してしまう」とありますね。
これがマグニチュードの飽和です。

マグニチュードの飽和とは?

どうして、マグニチュードの飽和により過小評価してしまうのでしょう。

マグニチュードは電球の光の強さに例えられることがあります。
ここではM7、M8、M9の電球があると考えて比較してみましょう。

【ⅰ:M7とM8を比較する】

M8はM7の光の強さの32倍です。
簡単に見分けがつきますよね。

【ⅱ:M8とM9を比較する】

M9はM8の光の強さの32倍です。
ところが、これは見分けがつきにくいですよね。

地震における「マグニチュードの飽和」もこれと同様のものと考えて問題ありません。

東日本大震災マグニチュードの飽和

東日本大震災マグニチュード9.0と説明しましたが、これは厳密にはモーメントマグニチュード(Mw)です。
つまり、速報値はMw9.0ではないということです。

東日本大震災マグニチュードの速報値は
Mj7.9
です。

マグニチュードは1上がると地震の規模は約32倍になると考えると、Mj7.9とMw9.0では全然違いますよね。

津波警報大津波警報はこのマグニチュードの値を基に発表するために、前述したような大幅な過小評価を招いてしまったのです。


改善された「津波警報

東日本大震災のような過小評価を防ぐために、津波警報は改善されました。

M8を超える巨大地震であると判断された場合には、速報値のマグニチュード(Mj)を当てにせず、その海域における最大級の津波を想定して津波警報大津波警報を発表するようになりました。

また、そのとき予想高さを◯mのように発表せず

と言葉で発表するようになりました。

つまり、「巨大な津波が来ます」などと報道されれば、東日本大震災クラスの津波が予想されると考えるべきです。

地震発生から15分以上経過してモーメントマグニチュード(Mw)が求められたら、それを基に津波警報大津波警報を更新します。
したがって、予想高さも数字での発表に切り替わります。

他にも、津波警報大津波警報の予想高さの発表区分にも変更が加えられて、以下の画像のようになりました。

このように、東日本大震災を契機に緊急地震速報津波警報は改善されました。

まとめ




私達が留意すべきこと

私達はどういった点に留意すれば良いのでしょうか。
それは至って単純。

「私は大丈夫」「自分の地域では大きな災害は起きない」などと考えずに、情報が出た段階で適切な行動を起こすこと。

これだけです。

緊急地震速報を見聞きしたら、
「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所で、身の安全を確保する。

津波警報大津波警報を見聞きしたら、
すぐに高いところへ逃げる。

など、当たり前のことが当たり前にできることが重要です。

緊急地震速報津波警報を見聞きしたときの行動、必ず確認しておいてください。

災害が起こる前に「危険だよ!行動を起こして!」と呼びかけてくれているのですから、私達はそれを利用しましょう。

緊急地震速報見聞きした段階で、揺れが来るのを待つことなく行動してください。

津波警報大津波警報見聞きした段階で、高いところへ逃げてください。

こういった緊急情報が発表されている時点で、行動するか判断する時間は1秒たりともないからです。

緊急地震速報を見聞きしたら


津波情報と取るべき行動


まとめ

確認クイズ

ブログを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回説明した内容が頭に入っているかを確認するために、確認クイズに取り組みましょう。
間違えたところがあれば、記事をもう一度読み直してみましょう。

【避難率4%】フンガ・トンガ噴火から学ぶ「正常性バイアス」

2024年1月15日にフンガ・トンガ噴火から2年が経過しました。

その次の日には、噴火の影響で岩手県奄美群島トカラ列島津波警報が発表されました。
しかしながら、岩手県における避難者は4%という低さでした。

今回の内容は「正常性バイアスなどによる楽観的思考」で以前取り上げたことがありますが、何度も見直してほしい重要なことです。

したがって、もう一度取り上げることにしました。

「自分の地域では災害は起きない」
「起きたとしても大したことないだろう」
「そもそも行動の仕方が分からない」

こういった考えだと災害時には命に関わります。危険です。
必ず最後まで読んだうえで、備えを見直してください。

災害への備えは出来る範囲のことからで構いません。
とにかく少しずつ進めていきましょう。

  • フンガ・トンガ噴火と津波
  • 正常性バイアスなどの脅威
    • 「避難者4%」という数字
    • 避難の妨げになった要因は?
      • 【要因①】地震を伴わない津波は現実味がない
      • 【要因②】外も暗くて寒いから避難をためらった
      • 【要因③】震災後は堤防ができたから大丈夫だろうと思った
    • 認知的不協和
  • まとめ


フンガ・トンガ噴火と津波

フンガ・トンガ噴火とは?

フンガ・トンガ噴火を引き起こした火山である「フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山」はどこにあるのでしょうか。

フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山は、日本から8,000km以上離れた、南太平洋トンガにある火山です。

この火山で1月15日13時ごろ(日本時間)、大規模な噴火が発生しました。

「大規模」という言葉をさらに詳しく表現すると、世界では数十年に1回、あるいは100年に1回の規模だそうです(ソース)。

潮位変動の発生(海外)

14時31分には、アメリカ領サモア0.6mの潮位変動が観測され、太平洋津波警報センターは「火山活動によって津波が発生した」としてサモア津波注意報を発表しました*1

また、ハワイでは「津波被害の心配なし」としていましたが、18時29分にハワイで0.1mの潮位変動が観測されました。
そこで、「津波被害の心配なし」という情報を打ち消し、津波注意報を発表しました。

ここまでの話をまとめると、次のようになります。

潮位変動の観測(国内)

奄美・トカラに津波警報、太平洋沿岸広範囲に津波注意報

気象庁は「21時頃から日本周辺でも潮位変動がある可能性はあるが、津波被害の心配はない」としていました。

ところが、この潮位変動(津波)は予想よりも2時間ほど早い20時頃から観測されました。
そして、23時55分には奄美市小湊で1.2mの海面変動が観測されました。

1mを超える津波津波警報の発表基準ですから*2気象庁奄美群島トカラ列島」に津波警報太平洋沿岸の広範囲に津波注意報を発表しました。

ここで、下の資料をご覧ください。

ここに書かれている観測点のうち、日本が最も火山から遠くなっていますが、トンガ以外の観測点よりも日本の観測点のほうが潮位変動が大きくなっています。

つまり、この潮位変動は通常の津波とは異なるメカニズムで起こったといえるでしょう*3

これについて、気象庁津波警報・注意報発表時の報道発表で次のように述べていました。

フンガ・トンガ噴火における「津波」は学術としては適さない表現であるものの、防災上の観点から津波として警報・注意報を発表したということです。

岩手県にも津波警報

2時26分には岩手県久慈港での潮位変化も1.1mを超えました
2時54分には岩手県沿岸の津波注意報津波警報に切り替わりました

つまり、津波警報・注意報が発表されている地域は画像のようになります。

次の話に移る前に、一旦ここまでの内容を整理しておきましょう。

*1:14時48分に発表されたサモア津波注意報は、15時36分には警報に切り替わりました。

*2:大津波警報津波警報津波注意報の発表基準は画像のとおりです。津波警報の発表基準が1m超であることが分かりますね。

*3:答えを言うと、噴火による気圧変化に伴うものです。詳しくはソースとなる気象庁の資料をご覧ください。分かりやすく書かれています。

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【公衆電話の使い方も!】災害時の安否確認について徹底解説します

防災ブログをご覧いただきありがとうございます。にじりゅうです。

最近このブログを更新できてなくて申し訳ございませんでした。

前回の投稿からは大きく間が空いてしまいましたが、今回は「災害発生時の安否確認」について解説します。

災害時は、輻輳(ふくそう)という現象によって、通常の電話が繋がりにくくなることがあります。

そのため、

などを利用しなければならない場合があります。

そういったものを利用するにあたって、あらかじめ利用方法は正しく知っておかなければなりません。
これは被災の有無に関係ありません

まずはあなたがこの記事を熟読したら、あなたの大切な人(家族、恋人、友達など人によって異なります)と必ず話し合ってください


アイキャッチ画像】

【目次】

輻輳とは?

まずは、先ほど軽く言及した「輻輳」についてもう少し踏み込んだ解説をしましょうか。

輻輳」をインターネットで調べてみると、次のような内容がありました。

電話やコンピューターネットワークなどの通信回線において、許容量を超えた利用が集中し、通信障害が生じること。
講談社・IT用語がわかる辞典より)

この説明だとやや難しいですが、道路交通に例えると比較的分かりやすくなると思います。

この画像に示されているように、輻輳とは通信における渋滞のようなものだと思っていただければ大丈夫です。

輻輳はなぜ起こる?

そもそも、災害時に輻輳はなぜ起こるのでしょうか。

大きな災害が発生すると、自分自身に留まらず多くの人が被災地にいる大切な人が心配になり、各地から安否を確認したいものです。

つまり、自分だけでなく全国にいる他の多くの人も同じように安否確認している、ということです。

これに加えて、災害時は警察・消防といった緊急通報を繋がりやすくするために、それ以外の電話を制限することがあります。

この2つの要素により、通常の電話は繋がりにくくなるのです。

対策

輻輳が起こっている災害時、私達はどのようにして安否確認をすれば良いのでしょうか。

まず、通常の電話を除く方法で、普段から安否確認の手段を複数確立させておく必要があるのです。

これから災害時の安否確認の手段をいくつか説明します。

しかし、自分だけでなく、その大切な人まで知っていないと使えないことが多くあります。

したがって、普段から「災害時はどういう手段で安否確認するか」を話し合っておかなければなりません。

災害が来てからでは遅いので、“普段から”話し合ってください。

安否確認の手段

災害用伝言ダイヤル(171)

災害用伝言ダイヤルとは、災害時の輻輳により繋がりにくい状況になった場合に提供が開始される声の伝言板です。

伝言を①録音する機能と、②再生する機能があります。
この伝言板では、あらかじめ①録音した音声を相手がその音声を②再生する、というイメージです。

使い方

難しそうに見えますが、Step2以降は音声での説明があります。
つまり、基本的にStep1の「171にダイヤルする」ということさえ覚えてしまえば良いのです。

また、Step2では「録音するときは1、再生するときは2」と説明しましたが、応用編として暗証番号付きで録音・再生することもできます

暗証番号付きの録音は3、暗証番号付きの再生は4をクリックしましょう。

注意点
  • 先ほども説明した通り、災害用伝言ダイヤルは「一方の人があらかじめ録音しておいた音声を、他方の人が再生する」という仕組みです。
  • 災害用伝言ダイヤルの存在をお互いに知っていないと、171にダイヤルすることすらできません。
  • 安否確認に固定電話と携帯電話のどちらを利用するか、あらかじめ確認しておかないと、スムーズにやり取りできません。
  • あらかじめ大切な人の電話番号を暗記しておく必要があります。
    • ただし暗記が難しければ、メモを取っておきましょう。
  • 高齢者などスマートフォンを使いこなせない方は、171に通話したあとどのように1や2などをダイヤルするか、分からないことがあります。
  • 録音できる時間は30秒です。短く簡潔に伝えるように心がけましょう。
    • 例:◯◯太郎です。今は◯◯小学校へ◯◯と一緒に避難しています。家族は全員無事です。次は◯月◯日◯時ごろ伝言を残します。
    • ポイントは、①名前、②場所、③一緒にいる人、④無事かどうかやケガの状況など、⑤予告 の5つ。

つまり、事前に話し合っておく必要があるということです。
これは災害用伝言ダイヤルに限った話ではありませんよ。

体験利用

普段からの備えの1つとして、通常時でもお試しできるチャンスを利用して、体験利用をしてみましょう。

  • 毎月1日・15日 0:00~24:00
  • 正月三が日(1月1日0:00~1月3日24:00)
  • 防災週間(8月30日9:00~9月5日17:00)
  • 防災とボランティア週間(1月15日9:00~1月21日17:00)

災害用伝言板(web171)

災害用伝言板には、NTTが提供するweb171と携帯電話の各キャリア会社が提供するものがありますが、まずはweb171について説明します。

web171は、インターネットを利用して被災地の方の安否確認を行う伝言板です。

使い方

※web171へのアクセスはこちらからどうぞ。

インターネットを利用した掲示板とありますが、厳密には電話番号をキーとしています。

分かりやすく言うと、災害用伝言ダイヤルをインターネットにしたようなイメージです。

また、web171はアクセスさえしてしまえば文字で説明が表示されます。
よって、災害用伝言ダイヤルと同様、web171にアクセスすることだけ出来れば大丈夫です。

さらに、前述した災害用伝言ダイヤルはweb171と連動しています。逆も然りです。
したがって、災害用伝言ダイヤルで登録された音声はweb171で確認することができますし、web171に登録された文字は災害用伝言ダイヤルでも音声として確認することができます
非常に便利なので、覚えておいてください。

注意点は災害用伝言ダイヤルとほぼ同じです。
あらかじめ大切な人と話し合っておかないと、存在を知らずアクセスすらできません
日頃から話し合っておきましょう
そして、相手の電話番号を覚えておきましょう

体験利用
  • 毎月1日・15日 0:00~24:00
  • 正月三が日(1月1日0:00~1月3日24:00)
  • 防災週間(8月30日9:00~9月5日17:00)
  • 防災とボランティア週間(1月15日9:00~1月21日17:00)

災害用伝言ダイヤルと同じです。


⑶ 各携帯キャリア会社の災害用伝言板

web171だけでなく、ドコモやauなどの携帯電話キャリア会社も災害用伝言板を提供します。
あらかじめ確認しておきましょう。

SNSや公衆電話について

ここまで、安否確認の方法を3つ紹介しました。
災害用伝言ダイヤル(171)
災害用伝言板(web171)
⑶ 各携帯キャリア会社の災害用伝言板

ただ、事前の備えが不十分だとこういった手段が使えません。
事前の備えは自分だけでなく、大切な人にも必要です。

そういったときには、SNSや公衆電話を利用する方法もあります。

災害時はインターネットや一部の公衆電話が比較的繋がりやすくなります。
これらを利用して安否確認をする方法もありますが、輻輳の影響を受けることが多くあります。

そのため、事前の備えを怠らず出来るだけ⑴・⑵・⑶の方法を取るようにしてください
⑴・⑵・⑶の方法を使うと輻輳を防ぐことができ、より多くの命を救うきっかけに繋がります

SNS

基礎知識:00000JAPAN

災害時に無料開放されるWi-Fiもあります。
有名なのは「00000JAPAN」ですね。
実はこれには2つの注意点があります。

  • セキュリティ面は心配であること
    • 個人情報を含む情報のやり取りは控えましょう。
  • 輻輳が起こる可能性があること
    • ゲームなどには使用せず、譲り合って使用することを心がけましょう。

このフリーWi-Fiは被災者のためのものですから、肝に命じておきましょう。

⑸ 公衆電話

私のYouTubeチャンネルの視聴者さんから
能登半島地震のとき、公衆電話の使い方が分からず両親に迷惑をかけてしまった。
 若い世代の人は普段使う機会がなく、使い方がわからない人が多いと思われる。
 ブログで取り上げて解説してほしい」
という要望がありました。

実際に、携帯電話の普及により年々公衆電話を見かけなくなっていることで、公衆電話の使い方が分からない方も多くなっています

一方で、公衆電話は災害時に輻輳の影響を受けにくく携帯電話の充電が切れてしまった際にも使えるので非常に便利です。

私も東日本大震災の際には、公衆電話を利用して家族と連絡を取りました。

そこで、この機会に公衆電話の使い方と探し方を確認しておきましょう。

使い方

こちらのページを参考にし、一部引用しました。

公衆電話は、まず①受話器を上げ、②硬貨などを入れてから ③ダイヤルする という手順です。

緊急通報(110・118・119)の際には、受話器を上げたら緊急通報ボタンがあれば押します。

災害時には無料化が実施されることがあります。
そのような場合には、硬貨を入れずにダイヤルしましょう。

探し方

前述したとおり、公衆電話は携帯電話の普及ににより年々見かけなくなっています。

あらかじめ公衆電話の場所を下のリンクから調べておき、実際にその場へ行ってみるようにしてください。

注意点
  • 公衆電話の利用にはお金がかかる
    • 災害時には必ずしも無料になるとは限らない
    • 事前に小銭の用意をしておくこと
    • 事前に料金を確認しておくこと(こちらから)
  • 公衆電話が輻輳の影響を全く受けないとは言い切れない

今回のまとめ




最後に

今回は、災害時の安否確認の手段と方法について解説しました。

とにかく「事前の備え・話し合い」が大切だということです。

災害用伝言ダイヤル災害用伝言板などは、事前に話し合って体験利用をしておかないと、実際に災害が起きたら使えないことがあります。

「今回のまとめ」の画像は、何も見なくても説明できるくらいに覚えておいてください。
そして、実際に行動を起こしてくださいね。

===

ここまでご覧いただきありがとうございました。
次回は2月または3月に更新します。

防災力を向上させるため、ぜひこちらから「にじりゅうの防災・減災ブログ」の読者になり、実際に備えを進めていきましょう。

また、コメントも大歓迎です。
コメントは誰でも投稿することができるので、ぜひ感想などを教えてください。

【災害時命に関わる】正常性バイアスの恐ろしさ

こんにちは、にじりゅうです。

突然ですが、皆さんは「正常性バイアス」を知っていますか?
時には恒常性バイアスという言い方もします。

この「正常性バイアス」について正しく理解し、自分にも正常性バイアスがあることを自覚しないと命に関わります

この記事を最後まで読んで、正常性バイアスについて知って自覚し、出来ることから自然災害への備えを進めていきましょう。

▼目次

アイキャッチ画像


そもそも正常性バイアスって何?

正常性バイアス」とは心理学の用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりして「自分は大丈夫だろう」と先入観が働き、異常事態でも正常な範囲だと誤認してしまうことです。

参考:Weblio国語辞典


この説明だと少し分かりにくいかもしれません。
ここからは具体例を挙げるので一緒に考えていきましょう。

例1:大雨の影響で警戒レベル4避難指示

イメージが湧きやすいように画像も作って付けてみました。背景画像はフリー素材なのでご安心ください。

例えばこんな感じで、大雨の影響で自分の住んでいる地域に避難指示が出されたと仮定します。警戒レベルだと4相当です。

避難指示が出されたら、危険な場所から離れなければいけません。
あなたの住む家は、ハザードマップの浸水想定区域内です。

しかし、去年も同じようなことがありましたが大した被害が出ませんでした

さて、このときあなたは本当に避難しますか?

……

恐らく多くの人が「家に留まって避難しない」と間違った行動を取ると思います。

間違っている自覚はあっても、次のような要因でなかなか避難行動に移すことが出来ないのでしょう。

避難行動に移れない要因
  • 「去年は大丈夫だったから今回も大丈夫だろう」と考えてしまう
  • ハザードマップを見ても自分の家が危険だと自覚できない
  • さらに上の警戒レベル5があるからまだ大丈夫(多分こういう人はどうせ5になっても逃げなそう、というかそもそも5だと手遅れ)


結論から言うと、これが正常性バイアスによる楽観的思考です。

都合の悪い情報を遮断して後悔

危険なのにも関わらず、自分にとって都合の悪い情報を遮断してしまい、避難行動を取ることが出来ませんでした。

このあと水害に巻き込まれてしまい「あの時逃げていれば…」となってしまった方も実際にいました。

もっと他の例も見てみましょう。

例2:緊急地震速報を見聞きした!

引き続きイメージ画像です。
このように緊急地震速報を見聞きした場合、あなたはどうしますか?

揺れが来ていなくても、見聞きした段階ですぐに行動しますか?

そもそもどういった行動を取るべきか理解していますか?

「どうしても揺れが来るまで行動できない*1
「行動の仕方が分からない*2
「多分大きな揺れは来ないよ*3

こういったことを思っている人、防災意識が低すぎます。
考えが甘すぎます。
(自分に当てはまってそうな人は脚注を見てから続きを読みましょう)


緊急地震速報が出てる時点で大きな揺れだから行動しよう

まず、緊急地震速報の発表基準からおさらいしましょう。
知らなかった方はこのタイミングで暗記してください。

発表基準 発表地域
最大震度5弱以上の揺れを予測 震度4以上が予想される地域に発表
最大で長周期地震動階級3以上を予測 長周期地震動階級3以上が予想される地域に発表

長周期地震動について詳しくはこちら

緊急地震速報が発表された場合は大きな揺れが予想されるということです。
的中率は約8割*4なので、かなり高い精度だと思います。

ちなみに、震度の中で最も高い「震度7」や1つ下の「震度6強」となると、這わないと動くことができず飛ばされることもあります。

つまり、もし震度7や6強の揺れだとしたら、揺れが来てからでは何も行動できないということです。

また、長周期地震動を考慮した場合、震源との距離やその地点の震度は関係なく大きな揺れが起こる可能性が否定できない*5ということも覚えておいてください。

緊急地震速報を見聞きした場合は大きな揺れが来ると思ってすぐに行動に移してください。


じゃあどんな行動を取ればいいの?
  • 落ちてこない
  • 倒れてこない
  • 移動してこない

これが地震発生時の行動の基本です。

つまり、物の落下・転倒・移動のリスクが少ない場所で頭を守るなど、身の安全を確保しろということです。

普段から「今この瞬間に地震が来たらどんな行動を取れば助かりやすいか」を考えるようにすれば、緊急地震速報を見聞きした段階ですぐに行動できるようになりますよ。

私もこれを普段から考えることによって、緊急地震速報を見聞きした段階ですぐに行動できるようになりました。

それでもイメージしにくい場合は、次のような方法があります。

ただし、災害時の映像や画像を見ることでストレスを感じる場合は無理をしないでください。

緊急地震速報の話はここまでです。
最後にもう1つだけ例を見てみましょう。


例3:津波警報大津波警報が発表!

引き続きイメージ画像です。頑張って作りました。
このように何らかの原因で大津波警報または津波警報が発令された場合、すぐに高台へ逃げることができますか?

ちなみに大地震に限らず、次のような場合でも津波の危険があります。

地震だけじゃない!津波のリスク
  • 強くなくても長い揺れを感じたとき
  • 外国で大地震が起きたとき
    • 2010年や1960年のチリ地震などでは、日本の沿岸にも津波が押し寄せ、死者も出ました
  • 海底火山の大規模噴火が起きたとき
    • 2022年1月のフンガトンガ噴火では、大気波の影響で日本で1.2mの潮位変動*6が観測されました

「大地震が発生したときは『あ、やばいな』と思えるけど、そうでないと実感が湧かない。よくわからない」

こういう考えでは駄目です。

「よく分からないからこそ逃げる」

この考えに改めてください。

フンガトンガ噴火による津波警報のとき避難率が4%という脅威の低さだった岩手県の知事も仰っていました。

津波は高さ1mで死亡率100%

津波は高さ1メートルで死亡率100%(ソース)です。

この3つのどれかに当てはまるときは、必ず出来るだけ高いところへ逃げてください

え?どこに逃げるか分からない?

それなら「○○(お住まいの市町村) 津波 ハザードマップ」でググりましょう。

そして、普段から避難場所(逃げるところ)まで移動してみて、できれば危険な箇所はどこかなどもチェックしておきましょう。


正常性バイアスによる楽観的思考で起きた悲劇

皆さんは、東日本大震災三陸沿岸が津波で被害を受け、多くの人が亡くなったことをご存知ですか?

その中で正常性バイアスによる楽観的思考が原因となって起きた「大川小学校の悲劇」について取り上げて記事を終わろうと思います。

大川小学校の悲劇とは?

大川小学校は宮城県石巻市にあった小学校で、東日本大震災のとき、次のような状況になっていました。

14:46 地震発生、全員が校庭へ避難

児童らは校庭へ避難し、保護者の迎えの車も5〜6台来ており一部の児童は保護者と帰宅しました。
しかし、校庭に残った多くの児童が悲劇に見舞われました。

14:49 大津波警報発令
  • 教諭らは対応を検討
  • 校舎は割れたガラスが散乱し、余震で倒壊する懸念も
  • 学校南側の裏山は急斜面で足場が悪いので、約200m西側にある新北上大橋のたもとを目指すことになった

まず津波が遡上する危険のある川の近くに移動するという時点で問題外です。
また、市の防災マニュアルでも津波対策は「高台へ上る」としか記されていないというのも問題でした。

15:10過ぎ 津波来襲
  • 児童らは教諭に先導されて校庭から歩き出すのを70歳の男性が目撃
  • 直後、津波来襲。男性は児童らと逆方向へ走り出す
  • 堤防を越えて北上川から溢れ出す巨大な波が、学校を含む地区全体を襲う

このとき、列の後方にいた教諭と数人の児童は向きを変えて男性と同様に裏山を駆け上がるなどしました。
助かったのはこういった人だけです

助かった子どもは大人に「眠れば死ぬんだからな」と言われ、一睡もしなかったという話もありました。

なぜすぐに裏山へ避難しなかった?

津波の危険がある→出来るだけ高いところへ」

言うまでもありませんね。
ではなぜ裏山(高いところ)へ逃げなかったのでしょうか?

「逃げなくてもきっと助かる」という考え

つまり、正常性バイアスによる楽観的思考が働いていたということになります。



まとめ:正常性バイアスとは?

ここまで読んでいただいたあなたなら、正常性バイアスが何か理解できましたね?

正常性バイアスとは、異常事態なのに物事を正常の範囲だと誤認してしまうことです。

これだけは覚えておいてください!

特に災害時などのような異常事態のとき、自分にも正常性バイアスがあることを自覚し、適切な判断を下すようにしてください!

この他にも「同調性バイアス(同調圧力)」というものもあります。

周りの人が逃げていなくても、異常事態のときはあなたが率先避難者になってください!

正常性バイアスの脅威から命を守るためには、実生活において普段から防災対策や心構えをすることも効果があります。


===


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は6月に「明治三陸地震から学ぶ津波地震の脅威」についてブログを投稿します。
このブログでも明治三陸地震については少し触れましたが、次回はもっと踏み込んだ解説をしようと思います。

これから水害の季節となります。
今回説明した正常性バイアスも考慮して、自分に必要な備えを出来ることから始めていきましょう!

*1:他人事だと思っていませんか? 震度6弱以上の揺れに見舞われる確率がゼロの地域は1箇所たりともありませんよ(ソース)。

*2:気象庁のサイトを見ましょう。行動の仕方が分かれば常に「今この瞬間で地震が来たら…」を考えていれば緊急地震速報を見聞きした段階で行動できますよね?

*3:緊急地震速報の的中率は80%です。

*4:ここでの的中率は、予測震度が実際の震度の±1以内のことです。

*5:そのための長周期地震動階級です。

*6:このとき岩手県奄美諸島トカラ列島津波警報が発表されましたが、岩手県で実際に逃げた人は4%と脅威の低さで、国民の防災意識の低さが問題になりました。

*7:ご家庭で避難に時間のかかる人がいらっしゃる場合は警戒レベル3、そうでなくても4で必ず危険な場所から逃げましょう。

【熊本地震から7年】内陸型地震の恐ろしさ

今日で熊本地震から7年となります。
まず、この地震によって犠牲となった方のご冥福をお祈り申し上げます。

この記事では、熊本地震と内陸型地震について解説していきます。
内陸型地震は全国どこでも起こり得ます。最後まで読んで、ぜひ行動に移してください。

※下の画像はアイキャッチ画像(サムネイルのようなもの)です。震度分布は気象庁サイトを参考にしていますが正確ではありません。


▼目次

熊本地震とは?

前震

2016年4月14日21時26分頃、熊本県熊本地方を震源とするMj6.5*1地震が発生しました(以後この地震を前震とします)。
熊本県益城町では最大震度7を観測しました*2

義務教育の範囲なのでご存知だとは思いますが震度の中で最も大きいのは7です。7を超える震度はありません(詳しくはこちら)。
震度7とは次のような揺れです。

  • 耐震性の低い木造建物は、傾くものや倒れるものが震度6強よりさらに多くなる
  • 耐震性の高い木造建物でも、まれに傾くことがある
  • 耐震性の低い鉄筋コンクリート造の建物では、倒れるものが多くなる

参考:気象庁 | 震度について

この前震の28時間後の4月16日1時25分、これよりもさらに大きな「本震」が襲います。

本震

熊本県熊本地方*3震源とするMj7.3*4最大震度7地震がまた発生しました*5
前震ではMj6.5でしたが本震ではMj7.3となり、阪神淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震と同規模となりました。

震度7を観測したのは西原村益城町で、計測震度はそれぞれ6.6、6.7となりました。

計測震度とは?

計測震度について分かりやすく説明すると、本来は“階級”として表される震度を“数値”として表したものです。
具体的には次のようになります。

震度階級 計測震度 震度階級 計測震度
震度0 0.5未満 震度5弱 4.5以上5.0未満
震度1 0.5以上1.5未満 震度5強 5.0以上5.5未満
震度2 1.5以上2.5未満 震度6弱 5.5以上6.0未満
震度3 2.5以上3.5未満 震度6強 6.0以上6.5未満
震度4 3.5以上4.5未満 震度7 6.5以上

このように数値化した震度を用いることで、同じ震度だとしても、その場所における揺れはどちらのほうが強いか比較することができます。
例えば、2011年の東北地方太平洋沖地震東日本大震災)と2018年の北海道胆振東部地震を比較すると次のようになります。

震度階級 計測震度 観測点
東北地方太平洋沖地震 7 6.6 宮城県栗原市
北海道胆振東部地震 7 6.5 北海道厚真町

どちらも震度7で非常に大きな揺れです。
しかし東北地方太平洋沖地震の計測震度が北海道胆振東部地震より1大きいので、揺れは東北地方太平洋沖地震における宮城県栗原市の方が強いということになります。

話を戻します。
実は、熊本地震(本震)で見られた熊本県益城町の計測震度6.7は国内観測史上最大なのです。

それでは、日本で起きた震度7地震のそれぞれの計測震度を比較してみましょう。

発生日 名称 Mj Mw 計測震度 観測点
1995.1.17 兵庫県南部地震 7.3 (6.9) 6.49〜6.6 神戸市中央区*6
2004.10.23 新潟県中越地震 (6.8) 6.6 6.5 川口町川口*7
2011.3.11 東北地方太平洋沖地震 (8.8) 9.0 6.6 栗原市築館
2016.4.14 熊本地震(前震) 6.5 (6.2) 6.6 益城町宮園
2016.4.16 熊本地震(本震) (7.3) 7.0 6.7 益城町宮園*8
2018.9.16 北海道胆振東部地震 6.7 6.6 6.5 厚真町鹿沼

このように熊本地震(本震)の計測震度6.7が最も高くなっています。

熊本地震の被害

熊本地震では次のような被害が出ました。

  • 人的被害
    • 死者 273名
    • 負傷者 2,809名
  • 建物被害 (計約21万棟)
    • 全壊家屋 約8,000棟
    • 半壊家屋 約34,000棟
    • 一部損壊家屋 約153,000棟 など
  • 被害額
  • その他
    • 各地で190件に及ぶ土砂災害
    • 道路寸断等の物的被害
    • ライフライン被害
      • 水道復旧まで約3ヶ月を要した地域(南阿蘇村)も
    • 行政機能の継続に支障を来す自治体の発生 (庁舎の被災等の影響)

参考

直接死

次のような原因で亡くなった方(直接死)は熊本県で合計50人とされています。

  • 家屋の倒壊(37人)
    • 前震(7人)
    • 本震(30人)
  • 土砂災害(10人)
  • 火災(1人)
  • 塀の下敷き(1人)

また、犠牲者は益城町など布田川・日奈久断層帯とその周辺の河川それぞれに沿って集中していたことが分かっています。

震災関連死

避難生活によってストレスや持病が悪化することによって亡くなることを「震災関連死」といいます。熊本地震のときもこれが相次ぎました(218人)。

その他にも、

  • 熊本城の復旧まで30年以上かかる
  • まちづくりや住まいの再建

といった課題があります。

内陸型地震とは?

ここからは「内陸型地震」について解説していきます。
義務教育の範囲なので知っている方も多いと思いますが、念のため解説します。

地震発生のメカニズム

そもそも地震はどのようにして起こるか理解していますか?
まず、地球は「プレート」と呼ばれる板で覆われています。
プレートには「大陸プレート」と「海洋プレート」の2種類があり、少しずつ動いています。

ここから2種類の地震のメカニズムに分けることができます。
海溝型地震と内陸型地震です*9

ここからはそれぞれどのようにして地震が起こるか解説します。

海溝型地震のメカニズム


画像引用源:地震のメカニズム | 東京都防災ホームページ

  1. 海洋プレートが大陸プレートの下へ沈み込む
  2. 大陸プレート先端が引きずり込まれ「ひずみ」を蓄積
  3. ひずみが限界となり耐えられなくなる
  4. 大陸プレート先端が跳ね上がり地震発生

このとき海溝型地震発生と同時に、海底から海面までの水が塊となって四方八方へ押し寄せることで、津波が発生することがあります。

過去に見られた海溝型地震は、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や1923年の大正関東地震(関東大震災)などです。
また、今後起こりうる南海トラフや千島海溝沿いの巨大地震*10も海溝型地震です。

内陸型地震のメカニズム

海洋プレートの動きは海溝型地震に限らず、内陸型地震の発生の原因となります。

  1. 海洋プレートの動きで大陸プレートが圧迫される
  2. 内陸部の岩盤に歪みを生じさせ、「ひずみ」が蓄積
  3. 内陸部の地中にあるプレート内部の弱い部分で破壊され、内陸型地震が発生

過去に見られた内陸型地震として代表的なのは、先に説明した2016年の熊本地震や、1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)、2018年の北海道胆振東部地震などがあります。

また、今後30年以内に茨城南部を含む南関東直下でM7以上の内陸型地震が起こりうるとされており、これを「首都直下地震」などといいます。

しかし、内陸型地震は予測が難しいので、全国どこでも起こる可能性は否定できません。

内陸型地震の予測が難しいのはなぜ?

なぜ内陸型地震は予測が難しいのでしょうか?
理由は主に2つです。

  • 内陸型地震発生の原因となる「活断層」はまだ見つかっていないものが多いから
  • 地震発生周期がかなり長いから

1つずつ見ていきましょう。

未知の活断層が多い

内陸型地震の発生は「活断層」が原因となります。

実はこの活断層、現在2万ほど見つかっているのですが、まだ見つかっていない活断層がたくさんあるのです。

実際に次のような地震は、これまで確認されていなかった活断層で発生したのです

阪神淡路大震災を契機に、国は活断層について本格的に調査を乗り出しました。

それから主要活断層帯で起きた地震は、

この2つだけでした。

活断層マップは参考程度に留めてください。
自分の住む場所の近くに活断層がないからといって安心しないでください。
出来ることから対策を進めてください。


地震の発生周期が長い

まず、地震は一定の間隔で繰り返し発生します。
海溝型地震では数十年から数百年の周期となっています。
それに対し、内陸型地震は数千年から数万年の周期となっています。

海溝型地震は短期間で地震を繰り返すので、「南海トラフ!」「千島海溝!」とある程度は予測できるのです。

一方、内陸型地震は発生周期が長すぎて発生時期に大きな幅が出てくることがあるのです。
平均活動間隔が長いためです。
例えば平均1000年周期なら、次の地震は700年後かもしれないし、1200年後かもしれないのです。

発生確率3%でも発生可能性が高い!?

主要活断層の長期評価を地震本部のサイトにて見ることが出来るのですが、これを見てみると…


引用源:地震本部 | 主な評価結果
※解像度が悪くて見にくい方は引用源のリンクから画像をご覧ください。

凡例の欄がこのように書かれています。

  • Sランク(高い):30年以内の地震発生確率が3%以上
  • Aランク(やや高い):30年以内の地震発生確率が0.1〜3%未満
  • Zランク:30年以内の地震発生確率が0.1%未満(Zランクでも、活断層が存在すること自体、当該地域で大きな地震が発生する可能性を示す。)

これを見ると「3%なのにSランク(高い)なの?」と思うかもしれません。
それだけ予測が難しいのです。

あなたの街が震度6弱以上の揺れに見舞われる可能性は?

ソースは地震本部全国地震動予測地図2020年版です。

この図は、「その場所で地震が発生する確率」ではなく「その場所で震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を表しているということに注意してください。

上の図を見ると、確率ゼロ(白のメッシュ)の地域は1箇所たりともないことが分かります。

つまり、日本列島どこにおいても「地震の揺れの被害に遭わない場所は1箇所たりともない」ということになります。

最後に

あなたの住む地域で「ここで大地震が起こることは絶対ない」といった話を聞いたことがあるかもしれません。
が、あれはただの迷信です。

同じことですが、日本列島どこでも地震の揺れの被害に遭わない場所は1箇所たりともありません。

自分の地域でも地震は来るものだと割り切って、出来ることから対策を進めましょう。

例えば……

  • 家具の位置の見直し(お金に余裕があれば家具の固定と耐震化まで行おう)
  • 緊急地震速報を見聞きした段階で行動できるようにする*11
  • 非常用持ち出し袋と非常用備蓄品を揃える(水だけでなくトイレを忘れないように)
  • ハザードマップを見ながら、家の近くの避難場所や避難所の周辺まで実際に行ってみる(その時に危険そうな場所があればマークしておこう)
  • 大切な人との安否確認の方法を考える*12災害用伝言ダイヤルは相手の人も知っていないと使えないので注意

この他にも自分で考えたり調べたりして、出来ることから地震への備えを進めましょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は5月ごろ「正常性バイアスの脅威」についての記事を投稿します。

*1:Mj6.5は気象庁マグニチュードモーメントマグニチュード(Mw)は6.2である。

*2:この地震震度6強の観測点がなく、益城町震度7は局地的なものです。これは観測点と震源断層の位置関係や地震波の出方や地盤が関係しているようです。

*3:震源の位置は前震と本震どちらも「熊本県熊本地方」となっているが、同じ熊本県熊本地方でも場所は異なるので注意されたい。

*4:Mw7.0

*5:前震とは打って変わって震度6強の観測点は10ヶ所もありました。

*6:大阪ガス葺合供給所

*7:現:長岡市

*8:前述の通り西原村でも震度7を観測しており、西原村小森の計測震度は6.6となっています。

*9:海溝型地震は「プレート境界型地震」、内陸型地震は「直下型地震」という言い方もします。

*10:巨大地震とはM8程度以上の地震のこと。

*11:ただし内陸型地震だと初期微動継続時間の関係上厳しいかもしれません。きちんと地震発生時の行動を理解していれば、海溝型地震なら正しく行動できるかもしれません。

*12:災害時、原則電話は「輻輳」によって繋がりにくくなります。

【初投稿】自己紹介&はてなブログの活動方針

皆さんこんにちは。にじりゅう / Nijiryuといいます。

今回は初投稿なので、自己紹介とはてなブログでの活動方針についてです。ぜひ最後までご覧いただき、良ければ読者になっていただけると嬉しいです。


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自己紹介

前述の通り、SNSではにじりゅう / Nijiryuとして次のような活動をしています。

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YouTubeでは、音楽素人ですが東方原曲を耳コピし「素人による耳コピ」シリーズとしてピアノアレンジ動画を投稿しています。

出来るだけ原曲重視で、かつ人間に演奏可能な範囲のアレンジにすることを心掛けています。東方Projectや音楽が好きな方は、ぜひ見に来てください。

ちなみに楽譜の配布や前述したシリーズの詳細な説明はNijiryu’s Siteより行っています。

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アメブロについては後述します。

 

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はてなブログでは、防災・減災について「わかりやすさ」をコンセプトに発信することにします。

実は3月末までは同様にアメブロで防災について発信していますが、それ以降は事情がありはてなブログに完全移行することにしました。

なので、今後ははてなブログでご覧いただけると嬉しいです。

 

最後になりますが、私ははてなブログ初心者なので至らない部分があるかもしれません。大目に見ていただき良ければアドバイスなどお願いします。

記事は以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。