にじりゅうの防災・減災ブログ

災害の備えは「普段から」

【避難率3%……】令和元年台風19号(東日本台風)から5年

ブログの閲覧ありがとうございます。
にじりゅう / Nijiryu です。

2024年10月12日、東日本で記録的な大雨や暴風をもたらした「令和元年台風19号(東日本台風)」から5年が経過しました

みなさんはこの記録的な災害、きちんと覚えていますか?
そしてこの災害から得た教訓を、さらなる災害への備えに移していますか?


「自分は西日本だから関係ない」
「そもそもこの災害を知らない」
「備えは行政がやるものでしょ?」

などと考えていると、かなり危険です。


日本列島どこであっても、災害が起こる可能性があります。
さらに、行政だけでは災害へ備えきれません。

したがって、私たち一人一人が「自分の命を守る」ための「災害への備え」を「普段から」進めていかねばなりません


だからこそ、まずはこのブログを読み「令和元年台風19号」について知ることから、少しずつ災害への備えを始めましょう。


「令和元年台風19号」とは?

令和元年台風19号は、令和元年東日本台風とも呼ばれます。

台風19号は、10月12日に大型の強い勢力[*1]で日本に上陸し、東日本の広い範囲に記録的な大雨や暴風をもたらした災害です。


被害

12日19時ごろに伊豆半島に上陸すると、関東では各地で大雨になり「内水氾濫」が都市部などで発生しました。

このような記録的な大雨で、気象庁は大雨特別警報を発表していました。

さらに、翌13日14時ごろ、長野県を流れる千曲川の堤防が決壊。
そして福島県を流れる阿武隈川も氾濫しました。

▼前述した千曲川のほか多摩川などでも、全国74河川の142箇所で堤防決壊。
▼土砂災害が962箇所で発生。
▼建物被害は9万棟以上。

全国初の「広域避難」

広域避難」という言葉、あまり聞かないと思うので、ここでざっくり説明します。

広域避難は通常の避難とは異なり、晴れていて安全なときに行うもので、町のほぼ全域が浸水想定区域のために、町に住む膨大な数の人が一斉に避難することです。

江戸川区ハザードマップでお馴染みの「ここにいてはダメです」という表現。まさにこれです。


江戸川区ハザードマップp.07より引用)


台風19号では、茨城県境町で全国初となる「広域避難」が行われました

町の広域避難計画など準備が進められていたため避難を行うことができましたが、自家用車の渋滞といったトラブルもありました[*2]。

避難率3%――防災意識の低さ

前述したように、課題はありつつも広域避難ができたケースはありました。

ところが、台風19号で避難の対象になっている人のうち実際に避難した人は、たったの3%です

災害大国である日本に住む以上は、備えなければならないはずであるのに、実際に備えた(ここでは避難した)人は3%。

防災意識の低さが伺える結果です。



なぜ「避難してください」と言われても避難しないのか。

まずは、そもそも防災の情報(避難指示など)を知らないパターンもあると思います[*3]。
普段から防災についての知識を得ていない――防災意識が低いということですね。

次にいえるのは、正常性バイアスによる楽観的思考です。

正常性バイアス」知っていますか?

正常性バイアスとは、災害時などの異常事態のとき、自分にとって不都合な情報を過小評価・無視してしまう心理のことです。

上の画像で示した、大邱地下鉄放火事件や東日本大震災(大川小学校の悲劇)が過去の事例としてよく挙げられます。

東日本大震災について

ほかに、2014年の御嶽山噴火でも、死亡者の多くが噴火の様子を写真撮影していたことが分かっています。

御嶽山噴火について

こうした事例では
「自分には関係ない」
「どうせ大したことではない」
などと不都合な情報を過小評価・無視していることがわかりますね。

このブログで解説している「令和元年台風19号」でも、正常性バイアスによる楽観的思考――「自分は災害に巻き込まれない」などという思考が働いた可能性があります。

正常性バイアスについて

水害への備えを考える

最後に、皆さんと一緒に水害の備えについて考えてみましょう。

詳しくは、過去のブログでも解説しています。

ハザードマップを見よう

まずは、あなたの地域で浸水や土砂災害のリスクがあるかを調べてみましょう。

Googleなどで「○○市 水害 ハザードマップ」などと検索するか、重ねるハザードマップから見る方法が分かりやすいでしょう。
スマホを使えない方でも、役所に行けば紙のものを手に入れることができます)

ハザードマップを見る際は、次のことに注意してください。

  • 災害は想定を超えるかもしれない ➡ 想定区域の外でも油断しない!
  • 避難場所はすべての災害に対応しているとは限らない ➡ 避難場所がどの災害に対応しているか確認しよう!

また、災害と取るべき行動についても、多くのハザードマップでは掲載されているはずです。

②「マイ・タイムライン」を作成しよう

大雨警戒レベルと取るべき行動などを確認し、このようなワークシートに書き込んで、定期的(たとえば1ヶ月毎)に見返すと良いでしょう。

▼ワークシート(PDF版)のダウンロードはこちらから!



③非常用持出品や備蓄品を準備する

もちろん費用はかかりますが、非常用持出品や備蓄品の準備は、水害以外の災害への備えにも繋がってきます。

非常用持出品や備蓄品は、各家庭によって必要なものが異なるので、インターネット上に載っていることがすべてではありません。

ちなみに、食料の備蓄については「ローリングストック」という手法を用いると良いでしょう。
「①食料を食べる→②買い足す→③備える」というサイクルの繰り返しです。


まとめ

いかがでしたか?
令和元年台風19号と、水害への備えについて理解できましたか?

このブログを見て終わりではなく、ぜひ行動に移してくださいね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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*1:台風の大きさと強さの表現については、気象庁による基準があります。つまり大型の強い勢力とは「強風域の半径500km以上かつ最大風速33m/s以上」ということです。

*2:渋滞のリスクは、水害に限った話ではありません。東日本大震災では津波からの避難で自家用車を使った人が多かったために、渋滞が発生したケースもあります。車を使用すべきかは慎重に考えるようにしましょう。

*3:避難指示と避難勧告の違いが分かりづらいと指摘されたこともありました。現在、避難勧告は廃止されています。